至福のひととき

「至福のひとときをお過ごし下さい」ってナンですか?

地下鉄の車内広告なんかで、件の宣伝文句を見かけますよねえ。
通勤の時などに。
大概がリーゾート・ホテルの施設などの広告で使われる文句ですよねえ。
別にからむ訳じゃないんですけど、
「至福のひととき」って何ですの?
「至福(しふく)」と云う崇高な言葉を、
リゾート・ホテルなんかのキャッチ・コピーに使って貰いたくないですよねえ。

だって、崇高な言葉がごく卑小に貶められて使われていて、それに憤りを感じますもの。
コマーシャル一辺倒に奔って、
その言葉の語源や意味や価値に対する畏敬の念を忘れて使っているから、
違和感を持つのですよ。

リゾート・ホテルでの「至福のひととき」って、
海の見える露天風呂に好き放題に入ることですか?
濃密なサービスのエステなんぞを受けることですか?
豪華な海鮮料理を好きなだけ食べることですか?
勝手気ままにレジャー施設を楽しめることですか?
ほかに何かありますか?
まさか、お色気サービスのことじゃないですよね。
それじゃあ、エロおやじの「至福のひととき」になっちまいます。

くどいようですが、
「至福のひととき」って、
その程度ですか。その程度の至福ですか。
だったら、人を馬鹿にしてるとは思いませんか。
その程度で満足する方は、別ですが。

至福とは、極楽浄土にのぼること、
と言ったら反発されますかね。
何を生臭坊主のような説教を言ってけつかると、
至福業界の商売人さんからはこっぴどく反発されることでしょう。
何故なら、
至福はこの世では得られないもの、
と言っちゃってるからです。

だから、妥協して、別の言葉を使って貰いたいのです。
至福じゃあ、大仰、大げさでしょうー。
至福の、この世版と言ったら、せいぜい、
快適なとか、
ここちよいとか、
きもちいいとか、
これまでにないとか、
日頃の世界から解放されたとか。

その程度のキャッチ・コピーで十分でしょう。
至福なんて言うと、適切なたとえじゃないけれど、
羊頭狗肉じゃないですか。

それとも至福の明確な定義があるのですか。
それとも至福なんて相対的なもので、
人によってそらぞれ違うとも云うのですか。

CM業界では、とかく、大げさな大仰なキャッチ・コビーが好みでもてはやされます。
それ考えひねり出す才能には大いに敬服いたします。

が、そんな軽佻浮薄短小なキャッチ・コピーを
嬉々として受け入れる日本人たちが情けない。
国民の一員として、この点を良識ある皆さまに直訴申し上げたい。

キャッチ・コピーは、
単なる言葉の遊びやいたずらやゲームのシールであって、
所詮、芸術文化とはかけ離れたものですよねえ。
言って見れば、
スーパーのタイムサービス用30円値引きシールとなんら変らない、
と決めつけられます。

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